吉田戦車

〜 かえるマンガの第一人者 〜

 吉田戦車は、かえるに何か特別な思い入れがあるのではないでしょうか。

「伝染るんです」

 かわうそ、カッパに並ぶ主要キャラクター。「おたまじゃくしは?」のシリーズはこれからも続く。「ヒゲが濃い」パターンもあり。
 数あるコマのなかでこのコマを選んだのは、このマンガがまだ前衛とみなされ、「不条理4コマ」なんてジャンルがもてはやされるようになり、ついに新聞に取り上げられたとき、これが使われていたから。
 (当時何新聞をとっていたか忘れたけど)
 たばこを吸うため、かわうそからは「不良」と見られている。

(スピリッツゴーゴーコミックス 2巻 P74)

「かえるの嫁」

 かえるの嫁に行く姉を、妹の視点で描く、叙情的?作品
 右のコマは、水かき沼から白馬にのって登場したお婿さん。
 かえるは白魔術でも黒魔術でもなく、緑魔術を使うそうな。この話だけでなく、他でも使っているところを見ると、これは、一般的に知られたことなんだろうか?

(白泉社 「鋼の人」所収 P46)

「かえる投げ」

 かえると人とが一体となり、人がかえるを投げ、その距離を競うスポーツ「かえる投げ」に打ち込む山本とかえるの物語。
 左のコマは、かえるを調教する山本。
 「蛙を愛するのはいい しかし愛に溺れてはならない かえる投げ創始者 グレゴリーペイン」

(白泉社 「くすぐり様」所収 P29)

「かえる年代記」

 「雨は何年も何年も降り続いた。
 多くの島々が海に没し、大陸の形は大きく変わった。
 人間は、その泥と水の世界で生きていくために、蛙などの水棲生物と自分達とを融合させた。
 蛙や蛸になったものは生き延びた。
 人間のままでいた者は死んでいった。
 時はたち、人間の記憶は消え、人々は蛙や蟹として日々を暮らしている。
 雨はまだ降りやまなかった・・・」(冒頭より)
 蛙の国に産まれた王子は、先祖がえりした、人間の姿だった。
 人間の姿をした蛙の国の王子が、王となるまでを描く、一代叙事詩
 右のコマは、王となったときのもの

(マガジンハウス 「タイヤ」所収 P172)