さて、皆さんは「ダイナマン」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。「SU系除草剤に抵抗性を示すホタルイ類、アゼナ類、コナギなどにインダノファンとクロメプロップとの、相乗作用と製剤特性により優れた除草効果を示す」日本農薬株式会社の“ダイナマンD”でしょうか。それとも、池田匠作のギャグ漫画「すすめ!ダイナマン」でしょうか。はたまた、「企業は“喜”業」が基本理念の中国、四国地方で流通業を営むダイナマイトコーポレーションのイメージキャラクター(会員になるとストラップがもらえるらしい)「ダイナマン」でしょうか。
そんな、いかにも検索エンジンでひっかかってきた言葉を並べてみたような前振りから入っておりますが、そのとおりです。すいません。
私の場合(そしておそらく多くの人の場合。少なくとも「農薬の名前」だと思う人よりは多くの人がそうだと信じていますが・・・)、ダイナマンといえば当然、「科学戦隊ダイナマン」を思い浮かべます。いや、結構、「科学戦隊」ってところは忘れているのですが。ガッチャマンの前についてるやつじゃなかったけ?などと考えてしまったり。ああ、あれは“秘密忍者隊”でしたっけか。
ダイナマイト・マン(ダイナマイト男という点でいえば、マイトガイ・小林旭と同じ。)らしく、やたら派手に爆発する、火薬の使用量が非常に多かった作品でした。登場シーンなんか、全員で落下して爆発、個人個人が名乗りをあげて、皆そのつど爆発、全員そろって大爆発と、なぜ、その火力を敵に向けないのか、と考え込んでしまうほど。
そんな(どんな?)ダイナマンにも、かえる怪人(正しくは進化獣ですか。そうですか。)が登場します。この番組、出てくる怪人が「進化獣」という設定なので、すべて(後半は違うだろ、という貴方はとても正しい。けど見逃して。)「○○シンカ」という名前になってる。なので、「カエルシンカ」という名前。素直なのか安直なのか。
この回の題名は、「さらわれた花嫁」。物の怪に連れ去られた花嫁を救うため、冒険の旅に出る勇者となるとファンタジー小説のサブタイトルになりそうです。さらって自分の花嫁にしてしまう立場から見れば、MGMの「掠奪された七人の花嫁」あたりでしょうか。そのほかに思いつくものといえば、ダスティン・ホフマンが出てた「卒業」などの花嫁連れ去りシーン。ああ、花嫁連れ去りといえば、スクールウォーズの森田光男(宮田恭男)と富田圭子(伊藤かずえ)でしょうが、あれはいったいいつの時代のどこの国の話なのでしょうか。まさかあの部分まで実話をベースにしてないですよね。あんなことが実際に起こっていたとしたら、明日から何を信じて生きていったらいいのかわかりません。
このさらわれた花嫁を救出する今回のメインキャラクターは、ダイナマンの紅一点、ダイナピンクの立花レイ。女性の憧れ(“憧れているうちが花” by 妻)結婚式を邪魔するやつは許せないという、それ以前にもっと人道に反する罪がいっぱいありそうな中、奇妙なところに焦点を合わせる粋な方です。
まずこの話は学校のシーンから。先生が教室で、自分の結婚式でドレスの裾を持ってくれる人を募集しています。先を争うように、何がいいんだかよくわからんその役に立候補する子供たち。不思議な光景。
そのままその先生の結婚式のシーンへ。祭壇まで進み、まさに指輪を交換しようというその時、「カエルシンカ〜」などとご丁寧に自分の名前(?)を紹介しながら現れたカエルシンカ。「カエルシバリ〜」といいながらカエルにつきものの長い舌を出して花嫁に巻きつけ、ぐるぐると引き寄せる(見た目は花嫁が自分からぐるぐる回りながらカエルシンカに近づいている)技を見せ、花嫁をさらってしまいます。そして、同様の事件が同様の「カエルシバリ〜」の技とともに発生して、どうやらこのカエルシンカが、ウェディングドレスを着た女性をコレクションしているらしい雰囲気が伝わります。
カエルシンカの風貌は、かなりヒキガエルなどに近い感がありますが、後ろにちょっと尻尾があるところがいまひとつ。ダイナマンの敵方は「ジャシンカ」という有尾人で、尾っぽの数が多ければ多いほど位がうえらしいので、カエルにも尾っぽぐらいつけなきゃってことなんでしょうが、おたまじゃくしからカエルになりたて、みたいな雰囲気を醸してしまうのでやはり問題あるデザインではないかと。
地下の洞窟らしき牢獄にさらってきた花嫁を押し込んで、おもむろに数をかぞえるカエルシンカ。「六人。あと一人」といいます。目的は七人集めることのようです。やっぱり「掠奪された七人の花嫁」でしょうか。カエルシンカが踊って歌う豪華なミュージカルだったりとか。違いますか。
6人もさらわれたということは、6件の連続誘拐事件なわけで、ダイナマンも捜査にのりだします。事件のあった式場をそれぞれあたるメンバー。立花レイも当然、そのうちの一箇所を調査するわけですが、花嫁姿の女性を見て「わー、きれー、やっぱりうぇでぃんぐどれすにしよーかな、うひひひ」とか言っている様子は、夢見る小学生か、夢破れて三ヶ月の壊れた人のようです。
と、そこに女性の悲鳴。慌ててそっちをみると、まさにカエルシンカが花嫁を連れて逃げていくところ。立花レイはその場から変身前だというのに凄まじい大ジャンプ。カエルシンカの前に立ちふさがります。どこに隠れていたのか、わらわらと現れる雑魚戦闘員をフェンシングの剣(何か名前がついてたと思うのだけど忘れました。すいません。)でなぎ払う立花レイ。
カエルシンカは「カエルクサリガマ〜」と言いながら(一度口に出さないと行動できない病気なのでしょうか。まあ、それを言ったらヒーロー側も同じ病気にかかっているけど。)、鎖を立花レイに巻きつけ、なぜか鎌ではなく、鋸刀みたいな武器で切りかかろうとします。そーいえば、ガマギラーも鎖鎌を使っていたような。これはやっぱりカマ=ガマのシャレってことですかね。
それはそれ、立花レイ危うし、というところで他のメンバーが登場、敵わないと見たカエルシンカは、「カエルトビ〜」と、ダイナピンクより迫力に欠けるジャンプで池の中に逃げ込んでしまいます。
場面は変わってジャシンカのアジト。カエルシンカが誘拐失敗の報告をしています。作戦指揮をとっているのはどうやら王女キメラ。「七人揃わないと、帝王アトン様に差し上げる不老不死の薬ができないのだ!」。ほうほう。さらった花嫁は、不老不死の薬作りに必要なんですか。へー。そこにカー将軍が言葉をついで、「明日はジャシンカ暦7777年7月7日。この日を逃しては、二度と不老不死の霊薬はできぬ!」とのこと。ジャシンカ暦の紀元は何が基準になっているんでしょうか。太陽暦を採用しているのでしょうか。一年はやっぱり12か月で、2月は28日までしかなかったりするんでしょうか。興味は尽きませんが、とにかく、明日はそういう日付なんだそうで。その後のキメラの台詞によれば、その霊薬は、7777年7月7日7時7分7秒に、7人の花嫁がカエルシンカの妻となり、その瞬間に心臓が止まると、その心臓から作ることができるらしい。秒まで指定して、その秒きっかりに七人同時に「妻」になるというのはいったいどういう意味か。何で相手がカエルシンカじゃなきゃいけないのか。暦の始まりって結構恣意的なもんなのに、そうした文化にしか根拠がない特定の年のサイクルに、10進法という数のかぞえ方の結果現れる同じ数字の並びに意味を見出しつつ、なぜか自分たちとまったく別個の生物体系にある人間をターゲットに結婚という文化的な行為を結びつけて、あわせてその時間に心停止という生物学的な現象が起こることで霊薬ができるという発想は、数秘学と黒魔術が入り混じった、ある意味非常に人間くさいものに思えますが・・・まったく別系統で進化しても、知的生命体の思考様式は共通するってことですかね。
さて、カエルシンカに逃げられたダイナマンたちは、今までにカエルシンカが現れた式場のそばに、川や池など水に関係する箇所があるとの発見をします。おそらく次にカエルシンカが現れるのも、水辺がそばにある式場に違いない、という推論は、経験則から言って支持できるかな、と思いますが、その後の方策がちょっと・・・。立花レイにウェディングドレスを着せて、囮にするって作戦。囮作戦は有効だと思うのですが、場所を一箇所に絞ってしまうのは乱暴なんじゃないかと。他の式場での結婚式をすべて中止にして、一箇所だけひたすら立花レイの結婚式ごっこを続ける、という方法もあるにせよ、そんなバレバレの囮作戦もいまひとつだし・・・。
幸運にも、カエルシンカはまんまと囮の立花レイをさらってアジトまで連れて行きました。
アジトでは早速婚礼の準備が行われます。カエルシンカは、どうやら彼の正装がそういう姿なのかどうなのか、赤いマントを羽織って王冠(?)をかぶり、蝶ネクタイを素肌につけ、扇子をもつという、不思議なカッコで現れ、「俺様の花嫁になるのだ〜」などといいながら、もともと渦を巻いている目をぐるぐるぴかぴかさせて、ゲロゲロ鳴きはじめます。
さすがの立花レイ、すかさずこれが催眠術であることに気がつき、靴のヒールでもう一方の足を踏むという方法で正気を保ちます。
正気を保つために痛みの感覚を用いるというのは、よくあるパターンではありますが、足を踏むぐらいだとちょっと軟弱(ハイヒールでグリグリってのは強烈かもしれないけど)。徹夜の眠気を克服して試験に集中するため、鉛筆四菱ハイユニを腿に突き刺したうえ、鉛筆がなくなったので、血で答案を書いた轟一番を見習ってほしいものです。
で、カエルシンカのゲロゲロ催眠術がどういう効果があるのかというと、カエルシンカが自分の結婚しようとしている相手に見えるというもの。ウェディングベルが鳴り響く中、催眠術にかかった6人プラスかかったふり立花レイはカエルシンカの方へ向かいます。王女キメラが「花嫁たちがカエルシンカに永遠の愛を誓った瞬間、かえる毒ガスでその命を奪うのだ!」とかなり難しい命令をしてます。だいたいどんな致死性の高い毒ガスでも、数秒の誤差も許さない範囲で命を奪うというのはねえ。タイムリミットのことを考えれば、もうちょっと違う方法のが確実なような気がします。しかしキメラは呑気に「七時七分1秒、2秒、3秒・・・」と117の時報のようなカウントダウンを始めます。7秒を過ぎてしまえば意味はなくなるわけで、この時点で立花レイがカエルシンカに愛を誓う可能性もなくなってしまったことを考えれば、計画はすでに破綻していて、何もあせる必要はないのに、この間抜けなカウントダウンに合わせて、勝手に7秒までに何とかしなければと思い込む立花レイ。
とりあえず履いていたハイヒールを飛ばしてカエルシンカの口に突っ込み、ウェディングドレスを怪人二十面相が変装衣装をとりさるくらいのスムーズさで脱ぎ捨て、カエルシンカに投げつけます。投げつけた衣装は、そんなことがあり得るのかどうか、カエルシンカにすっぽりはまってカエルシンカが花嫁姿に、というギャグが挟まります。着てみたかったとしか思えないボケっぷりです。
そんなこんなで雑魚との戦闘シーンになりますが、立花レイのロロノア・ゾロばり三刀流もどきを見ることができます。まあ、両手に持ってるのは刀ではないし、口にくわえてるのも刀ではないのですが・・・。口にくわえただけだし。
6人の花嫁を連れてアジトから脱出する立花レイ。ウェディングドレスを着た女性を6人も従えて、よく、ラストのバトル会場となる採石場まで逃げることができたものだと、こればっかりは感心するほかないわけですが、その砕石場で追いつかれ、立花レイ獅子奮迅の大活躍となります。
しかし、ひとりではいかんせんカエルシンカには敵わず、カエル爆弾で動きを止め、カエルシバリで拘束、カエルエレキ(舌を通じて電気ショック。鎖等で繋いだ相手には必ず電気を流さなければならない法則にのっとった正統技。あんまり効果が感じられないところも極めて正統。)でダメージという連携技に、びりびり状態(身体の回りをギザギザの蛍光色で縁取った状態)になってしまいます。さあ、このピンチからどう脱出するのか?これはもう、当然、他のメンバーがやってきて助けるわけです。
脱出した立花レイ、カエルシンカに対してキメ台詞。「みんなの夢と幸せを悪に利用しようとしたカエルシンカ!ハートの戦士、ダイナピンクが許さない!」・・んーー何となく落着きの悪い台詞なんです。「夢と幸せ」を利用したというよりも、「夢と幸せをもった(かどうかはわからないけど)人間」を利用しようとしてたわけで・・・どうでもいいですね。すいません。
この後は、恒例の、毎回跡形もなく崖を吹き飛ばすメンバーの名乗りがあって、集団バトル。ダイナピンクは主にカエルシンカと戦ってますが、ここでカエル毒ガスが青紫のガスを噴出す技であることがわかります。やっぱりあまり即効性はないようです。
とりあえずダイナピンクが、バラ・フィナーレ(小型のバラ型爆弾)で足止め、後方宙返りからサーベルを前方に突き出して相手に向かって突っ込む大技(ピンクスワンサーベルフラッシュ)で、カエルシンカの腹を破り(直後、腹にバッテン絆創膏が貼られていますが、いつ貼ったんでしょう?)、最後は、5人全員技、スーパーダイナマイトで等身大フェーズは終了。巨大化フェーズに移行します。
どうでもいいことですが、ダイナマン側、でっかい戦艦みたいなものを呼び出したのはいいんですけど、そのおっきい乗り物に乗りこんで、今度は各々飛行機や戦車のようなものにばらばらに乗って出て行って、特に何をするわけでもなく合体してロボットになってます。バラバラで役に立つこともあるかもしれないけど、こういうときぐらいは予めロボットになったやつに乗った方が効率はよさそうです。
カエルシンカは大きくなっても別に技が変わるわけではなく、腹膨らましてジャンプアタックをかました後、カエルシバリからカエルエレキ、そしてカエルサイミンに至る連続技。ロボットに催眠が効くのか、というのは素人の浅はかさ、操縦している人間にかかればいいわけです。立花レイがハイヒールのかかとで踏みつけてクリアした催眠術ですが、ダイナマン5人は、軽く頭をたたいて(「その手はくわんぞ」とか言いながら。)やり過ごしています。巨大化したとはいえ、催眠術はパワーアップしなかったようです。それにあの手のスーツは催眠術にも強いんでしょうね。きっと。ブルーはちょっとかかってしまうんだけど。ブラックが頭たたいたら直ってました。催眠術ってそういうもんなのでしょうか。
ダイナロボはバリアをはるんですけど、どういうバリアなのか、自分と敵との間に等身大の(ってもちろん巨大化サイズの等身大だけど)鏡を置いたようなバリア。何の意味が?と思っていると、意外にもカエルシンカは、「ここはどこだ、よく見えない」といってあたふたし始めます。バリアというよりダイナ催眠でしたね。
ダイナロボはダイナハンマーであたふたカエルシンカに一撃、そのままジャンプして稲妻重力落としでフィニッシュ。
冒頭出てきた先生が無事結婚式を挙げて、取った写真を見ながらまたもやちょっと壊れかける立花レイ。「いいなあー、わたしもはやくすてきなけっこんしきをあげたいなあー」。
この言葉を聞いて他のメンバーは大笑い。「むりむり」「レイみたいなおてんばじゃあ」「もらい手なし」などと好き放題言われています。そこに突然司令夢野久太郎が、わざとらしく咳をしながら、「わし、独身なんだけどな」っと冗談のような遠まわしのプロポーズのような発言を。この発言の向かう先は、当然紅一点の立花レイに向けられたものに違いないわけですが、なぜかレッド等男性陣がまず順番に「パス!」。彼らはいったい何をパスしているのか。よくわかりません。立花レイの答えも当然「パス」。ちょっと悲しそうな司令でありました。
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