ウルトラマン

〜 ガマとクジラのハーモニー 〜


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☆ ウルトラマンに特別解説はいらないでしょう。知らない人のいないキャラクターです。ウルトラマンには、ガマとクジラをミックスした「ガマクジラ」という怪獣が出てきます。ガマっぽい目、口、全身のいぼ、くじらのような腹、汐を噴出す攻撃という比較的素直なデザイン。この着ぐるみは、後に、スカイドンに改造されることになります。

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<お 話>

HUJI ☆ 科学特捜隊の月給日。科特隊が月給取りだったとは、初めて知りました。フジ隊員(紅一点)がイデ隊員をお供に銀座をショッピング。
 宝石店で真珠のアクセサリー各種を眺めながら、うっとりしています。「真珠は私の誕生石なのよ」など聞きもしないことを口走りながら、ガラスケースに鼻を押し付けて、トランペットが欲しい子供状態になっています。「欲しい」という感情を表現する典型的パターンですが、大人が宝石店で、という場合に使うのは、TPOを間違えているとしか言いようがありません。
 値段が高すぎ、とても買えないと言ってため息をつきます。「どうして、真珠が急に値上がりしたのかしら?」とつぶやきます。
MIWA  突然現れて説明をはじめる店員。どうも素人さんぽい芝居でかなりの違和感があります。もしかしたら本当に宝石店(協力 宝石専門店ミワ、とあるし。)勤務かもしれません。養殖場の真珠貝が全滅したため、値上がりしており、原因は不明だという振りがあります。
 女の直感で、これは怪獣の仕業だと断定するフジ隊員。

☆ 場面は変わって、辛うじて残った真珠貝を日本海側に移送するトラックが、海沿いを走っています。突然海中よりガマクジラ登場。トラックを襲います。積荷から転げ落ちた箱の中身がぶちまけられます。真珠貝を運んでいたはずなのに、なぜか貝殻と真珠が散らばっています。真珠貝じゃなくてもう真珠になっているんだったら、なんでわざわざ日本海に移送しようと思ったのでしょうか。舌を伸ばし積荷の真珠を食べる(吸い込む?舌が筒状になって、その管を通して体内に取り入れている。)ガマクジラ。注目はガマクジラの舌。体の大きさから推定される舌の太さは少なくとも土管ぐらいはありそうですが、真珠を飲みこむシーンでは、真珠との対比で見ても、せいぜい掃除機のホースぐらい。真珠が大きいのか・・・?だいたいあの図体を真珠で養うことは果して可能なんでしょうか?カルシウムは多そうだけど。

SIO ☆ 連絡を受けてビートルで現場に駆けつける科特隊。隊員総出です。どう見ても定員オーバーです。
 攻撃を受けて海に逃げ込むガマクジラ。その時、勢いよく汐を吹き上げて、その汐に当たったビートルは故障してしまいます。汐だと思ったら、何と熱線だったのです。

☆ 海岸で野宿する科特隊面々。離れ小島にはガマクジラが横たわっています。ガマクジラが真珠をかじる音が響きます。 「人間から真珠の光りを奪わないで!」必死になってガマクジラに懇願するフジ隊員。他の隊員の「怪獣に頭を下げるなんてどうかしている」という至極冷静ごもっともな意見に対し、「男なんかにこの気持ちはわからない」と逆切れします。
 男にはもちろんわからないですが、女にはわかるか?というのも疑問の残るところです。真珠一つでそんなに冷静さを失ってしまうとは、科特隊員としての資質はどうなんでしょう?

☆ つぎの朝、治ったビートル1号とハヤタ隊員が乗りこんだ2号で、科特隊の威信をかけた対ガマクジラ作戦が展開されます。

KIKYU ☆ その1 気球作戦
 ガマクジラが海に潜ってしまうと位置がわからなくなります。海中でも位置がわかるよう、ガマクジラの背中に気球を打ち込み、その気球を目印にしようという作戦。一応成功。
 「ガマクジラが東上中。赤、青、黄、緑の4つの風船に注意せよ。」なんて緊急連絡するフジ隊員。実際には緑色がどれだかわかりません。青が2個あるんだけど。うちのビデオの調子が悪いのかもしれません。

DENJIMO ☆ その2 電磁網作戦
 風船で場所を定めて爆弾を落すと、たまらずガマクジラが海上に姿を現します。そこで作戦第2段。2台のビートルでガマクジラを網にかけ、上陸を阻止する作戦です。で、どの辺が「電磁」かというと、網に電気が流れるようになっていて、ガマクジラに電気ショックを与えるわけです。それにどういう意味があるのかよくわかりませんが、とりあえず、網で捕らえることは成功します。空中に持ち上げられたガマクジラは網の中で暴れ、網の一方を持ち上げているビートル2号(ハヤタ隊員搭乗)を打ち落とします。ビートル2号墜落。ガマクジラ脱出。

☆ その3 真珠爆弾作戦
 網から逃れたガマクジラは、海辺でビーチボール等々で遊ぶ女性のアクセサリーを狙います。すぐそばで飛行機が墜落したり、運ばれていた怪獣が逃げ出したりしているのに(網から逃れたガマクジラが海中に転落するときなんか、ちょっとやそっとの音ではないと・・・)呑気に遊んでいる人間も人間ですが、せいぜいネックレスの1つ2つぐらいを狙ってでかい図体を移動させるガマクジラもガマクジラかと。
 フジ隊員はここでも「真珠の輝きは女性の憧れ」とかなんとか寝ぼけたことを言っていますが、それを聞いたアラシ隊員は、ガマクジラも真珠の光に惹かれていると断定し、きらきら光る真珠型爆弾をガマクジラに食わせる作戦を思いつきます。
 いつの間に用意したのか真珠型の爆弾がガマクジラの前にばら撒かれます。対ガマクジラ比で考えるとドッジボールぐらいありそうな玉ですが、作戦は成功、ガマクジラは爆弾を飲みこみます。
 しばらく後、爆発!のたうちまわって苦しむガマクジラ。と突然2本足で立ちあがり、汐を吹き暴れまわるガマクジラ。
 「体内での爆発に堪えたやつの口、喉、胃袋は強化され、鋼鉄も噛み砕けるようになったんだ。」と口走る隊長。何を見てそう思ったのか根拠はまったくわかりません。普通だったら、「決定的なダメージは与えられなかったものの、内臓を中心として傷を負わせた。」と考えるもんじゃなかろうかと。いつも効かない科特隊のミサイル攻撃は、怪獣を強化させるものだったのでしょうか。やらないでウルトラマンを待ってた方がよいのでは・・・。
 第一この後の展開で、ガマクジラが鋼鉄をかじるシーンはまったく出てきません。

ROCKET ☆ その4 ロケット作戦
 さて、墜落したビートル2号から何とか脱出したハヤタ隊員は、岩場で足辺りをくじいたらしく動けないでいます(その後、フジ隊員が隊長に語った時には、「腕にひどい怪我を」といっていましたが。)。探しにきたフジ隊員に、「本部に連絡して小型ジェット噴射機を」と頼みます。ガマクジラにロケットを打ち込み、地球外に追放する作戦です。
本部から届いたロケットがガマクジラの尻に命中、見事ロケットに押上げられたガマクジラの巨体は中に浮き、徐々に上空に上っていきます。
 ここでウルトラマンに変身するハヤタ隊員。飛びあがってガマクジラの後を追います。理由?知りません。
 するとなぜかガマクジラが軌道を変え、反転して飛んでくるので、ウルトラマンもそれを頭突きで迎えうちます。空中で激突する両者。ガマクジラは大爆発します。ウルトラマンの石頭が証明されたわけです。

GAMA ULTRA GEKITOTU BAKUHATU
☆ ウルトラマンの活躍がほとんどないのがこの回の特徴。乱闘→カラータイマー点滅→スペシウム光線というお約束がまったく守られていません。カタルシスの少ない話です。印籠の出ない水戸黄門みたい。

HUJI_2 ☆ さて、エピローグ。前にも増して真珠が取れるようになり、科特隊の給料でも十分買えるようになったというナレーション(ナレーションは石坂浩二)が入り、真珠のネックレス、指輪、イヤリングを付けてうっとりするフジ隊員。冒頭の宝石店です。いくら取れるようになったといっても、真珠ってそんなに安かったっけ?という量を買いこんでいます。また付き合わされているイデ隊員が、「馬子にも衣装というより豚に真珠」といずれにしてもけなしている諺でからかいます。 罰として多量の荷物を持たされるイデ隊員。合掌。