2003年年賀状
お年賀2003
「ケロムズさん、事件の捜査をお願いしたいのですが」
「それ以外の目的で私の所に来る人はいません。なんせ“名”探偵ですから。」
「事件の内容なんですが・・・・」
「ちょっと待ってください。当ててみましょう。なんせ“名”探偵ですから。うん。まず、これは重大事件ですね。私の所に来るくらいだから。しかも、王室に関わる、国家の大事に影響するような、解決されるかどうかで戦争まで発展するかどうか、それ程重大な。なんせ、私の所に来るくらいだから。王室関係者が暗殺されたとか、重要な機密文書が紛失してしまったとか、まあ、そういう事件でしょうな。私のところに来るくらいだから。」
「重大な事件、という点ではあたってますわ」
「そうでしょう、そうでしょう。なんせ“名”探偵の言うことだから。」
「でも、国家の大事に関わるとは思えませんの。」
「そうですか?どんなことでも、放置すれば、ダムにおける蟻の一穴のように、重大な結果を引き起こしますよ。結果的には大事になるはずです。」
「まあ、そうおっしゃるならそうかもしれませんわ。とにかく、わたくしがお願いしたいのは、宅で飼っている猫のマリエルニャニジスキーが居なくなったのを探して欲しいってことなんです。わたくしにとってこれは、国家の問題に匹敵する重大事件ですわ」
「・・・お帰りいただけますか?」
かえる界でその名を知らぬものとてない、探偵ケロムズ。彼の所には、毎日のように事件が持ち込まれ、そして彼はそれを引き受けたことがない。どんな事件でも椅子にすわったまま、五分で断る、ひと呼んで「解かずのケロムズ」。そんな彼に、なぜ毎日依頼があるのか、目下の所一番の謎はその点にあると言われている。

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