宗教戦争顛末記

全員投票(2)

 投票日の朝は快晴(注1)であった。
 投票場所は、教師会の開催場所である、中央の浮島であった。
 投票は、個人の自由意志により行われることが建て前となっていたが、カルとリカーは、それぞれの支持基盤におけるかえる100人を引き連れ、投票所に現れた。
 2人の現れた時間はほぼ同時刻であったため、中央の浮島を挟み、100人づつ合計200人のかえるが対峙する格好となり、しばらくの間両者動きがとれなくなった。
 そのまま、1時間程経過したところで、突然、リカー側の1人が浮島に上陸、それに続いて、両側から、200人のかえるが一気に浮島に殺到した。
 あちこちで衝突が起こり、殴り合いが始まった。投票所はバラバラになり、投票用紙が舞い、また、あちこちに罵声、悲鳴があった。
 もはや、カルとリカーにも事態の収拾は困難となり、殴り合いは深夜まで続いた。

 注1.原典では、「著しい、陽光」となっており、「快」晴と訳してよいかどうかは、議論の別れるところであろう。本書では、学会の多数説に従い、「快晴」とした。

 
 

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