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黄帝蝦蟇経 - 鍼灸と月に住む蝦蟇 -

 ※ 引用文中、文字フォント、文字色等を変更して強調している部分は、当サイトで付したもので、原文とは関係ありません。

■ 栄養ドリンク飲んでます? ■

栄養ドリンクを飲む蛙  ユンケル黄帝液って飲んだことありますか?タモリの顔ばっかり思い浮かびますが、いや、最近はイチローでしたか?、とにかく単価が高めなので、私は試したことがありません。ユンケルスターなんて、一本4,000円近いし。それはともかく、「ユンケル黄帝」ってどういう意味なんでしょうか。「ユンケル皇帝」だったら固有名詞の可能性もあるけど「黄帝」だし・・・。
 この不思議な「黄帝」の正体は、ユンケルの公式(?)サイト(http://www.yunker.org/にあります。FAQのコーナーがあるのですが、この中に、「Q.「ユンケル」ってどういう意味?」という質問に対する答え。
A.語源はドイツ語のユンカー(JUNKER)、「貴公子」という意味です!
 ちなみに、「黄帝」の語源は古代中国の権力者である医学の祖にちなんでつけたもの。つまり「ユンケル黄帝液」は、近代医学の発祥地ドイツと東洋医学の発祥地中国の双方から滋養強壮に相応しい名をいただいてドッキングさせたというワケ。パッケージは、中国で古くから最高のものを示すとされている黄金にちなみ、「黄帝」のイメージを持たせた金色で統一しています。

 ドイツ語が語源で「ユンカー」だって言うんなら、なんでわざわざ「ユンケル」としたのか、という重要な疑問が残ります。ただ、今回注目する点はそこではないので軽く流しておくとして、「黄帝」がなぜ「皇帝」ではないか、ということは比較的明確に書いてあります。
 「黄帝の語源は古代中国の権力者である医学の祖にちなんでつけたもの」だとか。でも、「古代中国の権力者である医学の祖」って何か変な言い回しですよね。何か「古代中国の権力者である」医学の祖や、「中世イギリスの騎士である」医学の祖や、「秋田の山奥で猪狩りを生業としていた」医学の祖なんかが沢山いて、その中の、という感じがします。「古代中国の権力者で、医学の祖といわれる黄帝にちなんで」とするべきかと。「古代中国の権力者」というのもずいぶんとアバウトな話ですが。

 じゃあ、「黄帝」ってどんな人なのか。ここは人の力を借りましょう。「狂仙堂」というサイトの「三皇五帝関連人物リスト」の「黄帝」は、とても簡潔、丁寧に纏めてあって、有りがたい限り。
 詳しくは、そちらを参照していただくとして、一部を引用しますと、
 姓は公孫、名は軒轅。姓は姫姓ともジ([女以])氏とも言われ、また帝鴻氏とも呼ばれる。
 三皇の最後、または五帝の始めに必ず名前のあがる人物で、一般に中華民族の祖とされている。
 特に道家思想では、道家の論者を「黄老の徒」と呼んだように、理想の君主として早くからあがめられてきた。
 また、陳舜臣氏によると、黄帝の墓とされている黄陵には、歴代王朝のみならず今の中華人民共和国政府も、毎年参拝の使者を送って中国の現状を報告しているそうである(歴史読本WORLD'87-7)。
 普通、黄帝の容姿に関しては立派な人間の姿でしか現されないが、「みずから雲師となり、竜の姿をしていた(劉向『列仙伝』より)」という伝承もあり、龍神としての原型があったのかもしれない。
 また一説に、『山海経』西山経に出てくる、湯谷に住み「その姿は黄色い袋の如く、赤いことは丹の火のよう、六つの足、四つの翼、混沌として面も目もない」という神・帝江も、帝鴻氏=黄帝の事ではないか、と言われている。
 黄帝は諸侯の少典の子で、生まれながらにして神霊であり、幼少のころからものいうことができ、また生得のすばやいひらめきがあった。
 当時は神農氏の子孫が炎帝の称号をついで天子となっていたが、その徳は衰え、天下の人望を失っていた。諸侯はたがいに侵略し合い、人民をいためつけたが、炎帝はそれを征伐することができなかった。そこで、軒轅は軍備を整え、天子に朝貢しない諸侯を征伐した。諸侯はみな軒轅の徳になついて服従した。
 「古代中国の権力者」というより、ほとんど神のような人ですね。伝説上の名君、尭、舜よりさらに前の人で、「中華民族の祖」だというのですから。

 この「黄帝」は、神農という、医学の神(特に漢方)の子孫を倒し、天子となっており、医学を神から人間のものにしたという意味でしょうか、「医学の祖」ということになっているようです。
 中国最古の体系的医書は、「黄帝内経」と呼ばれています。これは、「素問」と「霊柩」の通称ですが、両書とも、大部分が「黄帝」とその臣下の岐伯らとの問答形式で書かれています。まあもちろん医学の祖としての黄帝の名前を使った後世の作だといわれておりますが、それでも、秦、漢の時代には形になっていたそうですから、中国の歴史の深さを感じさせます。
 さて、我がかえるクラブがなぜ、こんなところで古い中国の医書の話をしているのでしょうか。黄帝なんて一体何の関係があるというのでしょうか。  その答えは、この「黄帝」の名前を関した、鍼灸の本で、「黄帝蝦蟇経」というすばらしい題名の本があるからです。今回は、長話をそうそうに切り上げて、次のページでその魅力を存分に堪能してください。
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