![]() (東洋医学善本叢書第28冊 1992.3 オリエント出版 ) さて、これは一体何なのか。何をいわんとしているのか。おそらく月の満ち欠けを表すらしい円の中に、兎と桂とそして「蛙」。そして、その下には裸の男性が。載せている画像では小さくて分かりにくいですが、身体の一部に点が打ってあり、何か書いてあります。月に兎と蛙がいるのは、中国のポピュラーな伝説だそうですが・・・。 で、これは何なのか、というと、これは、月齢に合わせて、「この日はここに鍼灸を施してはいけない」という、施術忌避を表した本なのです。 例えば、月齢2日のところには、どんなことが書かれているかといいますと・・・ 月生二日。蝦蟇生左肩。人気在足内踝後、足少陰。皆不可灸判傷之。使人陰共。男子陰痿「月齢の2日目には、蝦蟇の左肩が見え始める。人の気は、足小陰経の足内踝後(かかと辺り)にある。ここに灸や針を打ってはいけない。男は[ 陰痿 ]になってしまう。」とか。 恐ろしいですねえ。うっかりかかとのツボとか押していると、男性機能に大きな影響がでるかもしれないとなると・・・・ ![]() こういう、月齢や、暦と鍼灸忌避との理論(というか言い伝え)については、現在ではすべて迷信ということになっているようです。でも、例えば鍼に、「禁断のツボ」みたいなものはあるんでしょうかね?ここに刺したら死に至るとか。たった今、ジェット・リー主演の「キス・オブ・ザ・ドラゴン」を見たばっかりなので、気になって仕方がありません。(あるいは「北斗の拳」でも可) さて、奇妙なものを見たところで、今回のレポートをおしまいにしてもいいのですが、一応、この黄帝蝦蟇経がいつ頃成立したものなのか、という辺りを見てみることにしましょう。 [ ⇒次を読む ] |